葉牡丹をドライフラワーに

みなさん、こんにちは。謳花の装花士・秋田です。

このブログでは、今まで「花弁や茎が弱い」「色が残りにくい」「散りやすい」など…の理
由でドライフラワー花材として出回ってこなかった植物にあえて着目して、謳花流に試行錯
誤しながらドライフラワーにしていく研究日誌です。

記念すべき初回は…
お正月や冬の鉢植えによく見かける「葉牡丹」にチャレンジです。
諸説ありますが、花言葉に利益や祝福などの縁起のよい花言葉もっていることや、名前の由
来になっている牡丹(牡丹も縁起の良い植物とされています)に似ていることから、使われ
るようになったと言われています。
お正月のシーズンや冬の頃合いによく見かける植物ですので、こちらをドライフラワーにし
ていきたいと思います。
上手くドライフラワーにできれば冬のアレンジメントなどにも活用できるのでは!

今回は比較検証も兼ねて、生の葉牡丹を5本用意しました。
ドライフラワー用シリカゲルに入れての乾燥法、風通しの良い日陰に吊るして自然乾燥法、
約50°Cの温風乾燥機を使っての機械乾燥法の3パターンで乾燥実験をしていきます。

2021年1月10日 現在の写真
A:シリカゲル乾燥用
B:自然乾燥用
C:乾燥機用
D:自然乾燥用→茎長めの葉牡丹
E:乾燥機用→フリルの入ったちりめん系葉牡丹(根付き)

まずは、Aの準備から。
ドライフラワー用のシリカゲルと、保存用の密閉できる小瓶。
食品などでよく「たべれません」と表記されているあの小袋のシリカゲルと同じものですが、ドライフラワー用は粒子が砂のように細かくなっています。

この小瓶に葉牡丹を、自立させられるくらいまでシリカゲルを入れていきます。
こうすることで、葉が瓶に当たってつぶれたりするのを防ぎます。

そのあとは、葉の隙間に慎重にシリカゲルを追加していきます。
勢いよく入れすぎると、葉がシリカゲルの重みでつぶれてしまうため、ゆっくりと!

最後に、ピンセットで葉を整えて、シリカゲルが均等に入るようにしてから…

瓶の淵までシリカゲルを入れきったらふたを閉めて完成。
あとは、暗所で保管して乾燥を待ちます。

続いて、自然乾燥のBとDです。
(自然乾燥のBと乾燥機のCとで、比較するためにアルファベット順不同です。)

BはAとCと同じくらいの開き具合、茎の長さ。

Dは少し状態が悪くなってきているため、葉が閉じています。茎は長めにしています。ほか
のものとどれくらい差が出るか。

次は、CとEです。
こちらは、50°Cほどの温室での乾燥を試してみます。
Eはほかのものと品種違いで、フリル状の葉牡丹。園芸用のポット苗のものを使っているの
で根付きです。
根の付いた状態でのドライフラワーはあまりみかけないので、乾燥機での根つきドライフラ
ワー作成にもチャレンジしてみようと思います。

~乾燥1日目~(2020年1月11日)
乾燥機に入れて、翌日…丸一日経過させたところで、なんとEはすでに乾燥状態に。
フリル状の葉が薄かったためか、乾燥が早かったようです。
根は固くなるかと思いきや、柔らかくてしなやかです。
ほかのものはまだ乾燥に至っていないため、乾燥を継続します。

~乾燥3日目~(2020年1月13日)
乾燥機に入れたCが乾燥状態になりました。
乾燥ははやかったのですが、こちらは葉が少し痛んでしまったようですね。
エアコンや暖房器具の直風を受けると、葉が焼けてこのような状態になることがあります。
温度が高すぎたのかもしれません。

乾燥機で乾かした2種を別角度から。
並べて撮ると違いがわかりやすいですね。どちらも生花のときより、若干色が濃くなってい
るようです。

赤紫から黒っぽい紫に変色しています。
茎も細くなっていますがしっかりとしています。付け根の部分が弱くなるかとおもいました
が、どちらも丈夫なようで一安心です。

Cの内部。

Eの内部。

~乾燥7日目~(2020年1月20日)

1週間が経過。
そろそろ、Aのシリカゲルを出してみようと思います。
外見は変化なし。シリカゲルは空気中の水分を吸うとピンク色になりますが、変化がないで
すね。
中は乾いているでしょうか。

慎重にシリカゲルを移して…

頭が見えてきたら、ピンセットで茎を持ってゆっくり引き抜きます。
この時、葉も持つと崩れてしまうので必ず茎を持ちます。

最後にきれいにシリカゲルを落としてあげます。
しっかりと乾燥できて、無事に成功!きれいに開いて乾燥しました。
ほかの乾燥方法との比較は後ほど…

~乾燥12日目~(2020年1月22日)
Bの乾燥が完了しました。乾燥機でのC、Eの乾燥完了から10日ほど経過しています。
やはり、自然乾燥だとだいぶ時間がかかるようです。

BとCとで比較してみましょう。
外見は…あまり、変化がないようですね。個体差も感じられません。
中もそれほど大きな差は見受けられません。
乾燥時間を短縮できるということ以外は自然乾燥も乾燥機もあまり変化がないようです。
自然乾燥も葉の痛みもあるようなので、周りの葉は痛みやすい植物みたいですね。
今回の検証は冬の乾燥期ですので、夏場の湿度が高いと違いが出ると思います。

~乾燥18日日目~(2020年1月28日)
18日目で、Dにようやく変化がありました。
茎と外見はだいぶ乾燥できていますが…写真ではわかりにくいですが中が生乾き状態です。

生花の時から、葉が閉じ気味だったため、乾燥でさらにしぼんでしまって中の乾燥が悪いよ
うです。このままだと、中の水分が抜けきらずに腐ってしまう可能性があります。
最悪、カビの発生と茎から首が折れるので危険です。
瓶に入れてAのように乾燥させることもできますが、茎が長いため、大型の瓶と大量のシリ
カゲルが必要です。
そこで、いい方法を思いつきました。
葉の中に少量のシリカゲルを入れて…

ラップをかぶせて瓶に刺して乾燥させてみます。やったことはないので、成功するか…。
(注意:茎が完全に乾燥していない状態で瓶に刺すと自重で折れてしまいますので、硬さを
確認してくださいね!)

~乾燥23日日目~(2020年2月2日)
ラップをかけてから5日が経過しましたが、様子はどうでしょうか。
写真ではわかりにくいですが、触ると内部はパリッとしており、乾燥できているようです。
中にシリカゲルを入れてラップをすることで簡易的に乾燥を早めることができるようです
ね、これはバラなど中が乾きにくい花材にも応用できそうです。

さて、すべての乾燥が完了しました。
並べてみると…こんな感じになりました。

生花の時と並べて比較。だいぶしぼんで一回りほど小さくなりました。
Aのシリカゲル乾燥が一番、形状を保って乾燥できていますね。
ただ、その他の乾燥方法も葉にネジレや縮れが出て、味わい深い…。
ブーケなどには、自然乾燥法か乾燥機の葉牡丹。
茎をオアシスに挿し込むようなアレンジメントには葉が大きくひらくので、シリカゲル乾燥
法の葉牡丹が活用しやすそうです。

続いては…乾いた葉牡丹B、C、Dをブーケアレンジメントにしてみました。
第一印象はバラみたいで使いやすい!茎も丈夫なので、ブーケに入れやすい特徴がありそうです。
紫のアクセントになる花材としても有用な花材だと思います。
葉牡丹が渋い色味なので、実もの、緑の発色のよい葉物と合わせると引き立ちますそうで
す。

使った花材を挙げておきますので参考にしてみてください。

【使用花材例】
・葉牡丹
・バラの実
・ユーカリの葉
・センリョウ
・ケイトウ
・ヒオウギの実 など

~乾燥結果 まとめ~
やはり、乾燥機の乾燥はとても早い!(当たり前ですが…)
個人宅で乾燥機を使って乾燥している方は滅多にいらっしゃらないかと思いますが、ドライ
フラワー工房などでは今回のように乾燥機で急速乾燥している場合もあります。
あと、茎が長い、太いものは乾きが遅いと言われていますが、今回、Dで検証した結果をみ
ても明らかな乾燥時間の差が出ました。

茎の水分量によっても変わってきますが、今回使用した葉牡丹は茎が直径10mmほどでした
が3週間近く乾燥に要しました。
太い茎のものは、中が腐らないようにこまめにチェックしたほうが良さそうです。
機会あれば次は乾燥機に入れてどれくらい乾燥時間が縮まるか検証しても良いかも。
葉牡丹の個体差はあるものの、どの方法でも乾燥させやすい植物でした。
今回はブーケのアレンジメントに活用してみましたが、とても使いやすく飾りやすい花材と
いうことがわかりました。
葉牡丹はホームセンターなどでも手頃な価格で入手しやすいのも魅力です。
お庭や鉢植えで葉牡丹を楽しんでいて、春先に切り戻しや植え替えをしようかな。と思って
いる方がいましたら、ぜひ乾燥にチャレンジしてみてください。

次は何を乾燥させようかな…
それでは、また。